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株主優待におけるつなぎ売りの実態

株主優待は当該企業が発行する株式に一定の所有がある株主に対して与えるベネフィットであり、主に小売業や食品関連企業、サービス業(観光・公共交通機関)などで実施されています。
基本的に中長期の保有実績に対して当該企業が出資者である株主に対して株主優待を実施しますが、株主優待は企業側に実施義務がなく、必ずしなくてはいけないものではないため、実施していない企業も多いです。
主に自社製品や自社展開サービスを提供する企業が多く、金券やチケット類、クオカード、製品購入割引券、無料飲食券など様々なサービスが提供されています。

株主優待を受けるには、優待権利日を跨ぐ株式所有が条件となり、権利確定日の終値時点で株式を所有していることが条件となります。
インカムゲインを目的として投資運用に取り組む投資家は株式を長期保有して資産化します。
売却による利益確定が目的でなければ、株価よりも配当や株主優待に着目します。
近年、インターネットトレードが主流になると、取引手数料が低価格化し、短期売買に取り組む投資家が増えました。
優待権利を獲得するためにつなぎ売りを行う投資家も増えました。

つなぎ売りとは現物株を保有した状態で、同じ銘柄の同単元株を信用取引で売ることです。
信用取引の売りは空売りとも言われ、先に売りから入ってのちに買い戻す行為で、株価が高値圏と判断される局面で、売り注文を掛けておき、株価が下がると利益が出る仕組みとなります。
万が一、株価が上昇すれば現物投資とは逆の性質で損失が出るため、現渡、現引にて決済し、信用売りで出た損失の穴埋めを現物株式或いは現金を引き当てます。
相場の天井でつなぎ売りを実施し、その後に万が一株価が下落しても、現物株に対する含み損は空売りによる利益で相殺されるので、うまく相場の底でつなぎ売りの返済を行えば値下がり損が回避できます。
つなぎ売りは信用売りと現物の互いの取引で得るデメリットをメリットでカバーしますので、株主優待のみが獲得できます。
つなぎ売りは株価がどう動いても損益が相殺されます。

つなぎ売りにも落とし穴がある?

つなぎ売りは株主優待を獲得する方法として用いられることがありますが、つなぎ売りがノーリスクであるかと言えばそうではありません。
つなぎ売りは株価がどのように動いたとしても株価変動リスクはヘッジできますが、逆日歩と言われるコストが掛かることがあります。

空売りは信用新規買いと異なり、予め売りから入る投資スタイルであり、日歩が掛かりません。
空売りの仕組みは、証券会社から株を借りて先行して売り、下落したのちに買い注文を入れて取引一往復とします。
すなわち、先に高く売って後から安く買い戻すというのが理想です。
但し、空売りの場合、株価が上昇した場合に損失が出るため、現物株の利益分でこの損失が相殺できるため、株主優待の獲得につなぎ売りという手法が用いられます。
約定時に手数料がかかり、わずかな手数料で優待を獲得できることからメリットが大きいと考えられます。
近年、ネットトレーダーを中心にこの方法で取引する投資家が多くなりましたが、つなぎ売りはメリットのみではなくデメリットも存在します。

つなぎ売りのデメリットとは、空売りのデメリットでもあります。
万が一信用売りが多くなると、証券会社の株式が枯渇し、日証金等から株式を借りて対応することになるため、保有期間の貸し株料が発生し、決済時に相殺されます。
この費用を逆日歩と言い、株式を借り入れた日数分計算されるため、長くポジションを持った場合、逆日歩負担が大きくなりメリットをデメリットが大きく上回ります。
手数料と逆日歩を合わせると株主優待のメリットはそれほど大きなものではなくなります。
一般に株主優待権利確定日には貸し株が不足するケースが多く、短期で決済しなければ手数料を含めてデメリットが大きくなりますので注意が必要です。